子どもにも大事な人を失ったときには、悲しみ、怒り、戸惑いなどさまざまな思いを感じています。但し、その表現は、年齢によっては大人にとってはわかりにくいことや悲しんでいないような様子だったり、衝撃を受けていないように見えることもあるかもしれません。
子どもたちは、大切な人との死別に対して以下のような反応がることを理解しましょう。
| 行動 | 泣く、退行、攻撃的な行動、乱暴、落ち着きのなさ、親の側を離れない、はしゃぐ、興奮など |
| 感情 | 悲しみ、怒り、恐れ、不安、気分のむら、抑うつ、罪悪感 |
| 身体 | 頭痛、腹痛などの痛み、だるさの訴え、めまい、食欲がない、眠れない、活気がない |
悲しみ
何が起きたかを十分に理解できない年少幼児では、大事な人を失うなどの状況による悲しみやストレスが、「退行」というこれまでできていたことができなくなった、しようとしないなどの様子が現れることがあります。ご飯を自分で食べようとしない、食べさせてもらいたがるなど甘えのような様子やおしっこを教えなくなったなどの様子として表れたりします。また、眠りが浅い、夜うなされる、夜泣きをするなどの睡眠の変化、大人のそばを離れなくなる、そばを 離れようとすると激しく泣く、不安な様子を示す、いつもより活気がない、表情が乏しい、口数が少なくなるなどです。
また、一方ではいつも以上に元気に振舞う、素直な感じ、さみしい、悲しいなどの様子を示さないなど何事もなかったかのように振舞うこともあります。このようなとき、子どもは、案外平気なんだとは思わず、どのように悲しみを表現していいのかがわからないと考えてみることが大事です。亡くなった人との別れは、信じられない、混乱など別れそのものへの強い悲しみと同時に、場合によっては子どもには受け入れがたい出来事であればあるほど、何事もなかったような行動として日常を過ごしているように見えることもあります。つまり、これも子どもの強い悲しみの表現の一つとして理解すること が大事です。
怒り
悲しみの結果としてそれが怒りとなって、亡くなった本人や他の家族などに矛先を向けることも見られます。たとえば、学校などで乱暴な行動をする、いらいらしているなどの様子がみられることがあります。これは、子どもにとっては見捨てられた、おいていかれた強い思いの結果として表現されていることがあります。これも、自分の思いを攻撃という形でしかうまく表現できないとみることも大事です。
罪悪感・自責
幼児期の子どもは、時には大事な誰かの死は、自分のせいであると思い込んでいるときがあります。これは、自分の体験の中の範囲で状況を理解しよう とする結果、良くないことをして怒られたから、悪いことしたからと短絡的に考えがちです。たとえば、親の言うことを聞かずにいて悪い子だったからとか、けんかをした時に「もういなくなればいいのに」と思ったから亡くなってしまったのではないかと考え罪の意識やとんでもないことをした自分と考えてしまうことも少なくありません。
これまで子どもが、きょうだいなど身近で大切な人を亡くしたときの思いについて、子どもへのインタビューなどからまとめられたものについて以下に紹介します。子どもなりにいろいろなことを考えていることが伺い知ることができます。
きょうだいが死んだときにつらかったこと Grollman.A.A
- 親の前で涙を見せないようにした
- みんなが私に気を使って弟の話をしない
- 楽しいことがあると、自分だけ楽しい思いをしてすまない
- 感情を外に出さなかったので非難された
- 子どもはすぐ立ち直ると思っている
死んだきょうだいのことを親と話せない理由Grollman.A.A
- 親が取り乱してしまう
- お母さんが泣いてしまう、泣くのを見たくない
- 話せる雰囲気でない
- 親が悲しみ、その姿を見るのがつらい
親からみた子どもの反応 茎津(2008)
著者らが行った身近で大切な人を亡くした子どもを持つ親への調査では、親が感じた子どもの様子については以下のよ うな結果が出ました。N=363(複数回答)
- さびしそうだった(39.3%)
- いつもと変わりがなかった(22.9%)
- 口数が少なかった(19.6%)
- いつもより泣いていた(18.7%)
- しっかりしていた(18.5%)
- 元気がなかった(18.5%)
- その他 自由記載
- 親や周囲の様子を察して面倒をかけないようにしていた
- 泣いているのを見て元気付けようとしてくれた
- 学校へ行くのを嫌がった
- 友達とけんかばかりしていた
- 一人で寝れなかった
